強制執行関係売却妨害罪

強制執行関係売却妨害罪とは、偽計・威力により、強制執行において行われ、または行われるべき売却の公正を害する犯罪です。

刑法96条の4に規定されています。

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この犯罪の刑罰は、3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金、またはこれの併科です。

強制執行関係売却妨害罪は、平成23年の刑法一部改正の際に、新設されました。
ただ、それ以前の旧刑法96条の3で規定されていた競売等妨害罪が、偽計・威力により公の競売または入札の公正を害すべき行為を処罰対象としていましたので、この競売等妨害罪の対象の一部である強制執行に関して妨害する行為を取り出して、独立の犯罪としたのが、強制執行関係売却妨害罪と理解されます。
残りの公共契約の部分は刑法96条の6第1項の公契約関係競売等妨害罪が新設されています。
そして、強制執行関係売却妨害罪は、旧刑法96条の3では処罰対象となっていなかった競売開始決定前に行われた妨害行為についても、処罰対象となっています。
それは、刑法96条の4において、「行われるべき」売却の公正を害すべき行為と規定されていることが、まだ行われていないが今後行われるであろう強制執行の売却手続を妨害する行為も対象としていることを意味しているものと理解されます。

偽計とは、人を騙したり、誘惑したり、他人の錯誤などを利用したりする行為のことです。
例えば、実際は存在しない賃貸借契約があるものと仮装し、賃借人と名乗る者が競売物件に居住する行為が偽計に該当します。
威力とは、人の意思を制圧するに足りる勢力を用いることです。
例えば、競売物件の出入口に暴力団の看板を設置する行為が威力に該当します。
これら売却の公正を害するおそれのある偽計・威力の行為が行われれば、実際に売却の公正を害したかどうかを問わず、強制執行関係売却妨害罪が直ちに成立します。

強制執行関係売却妨害罪における「強制執行」とは、民事執行法1条の強制執行・担保権の実行としての競売、換価競売、国税徴収法の公売のことを指すものと言われています。
また、「売却」とは、これら強制執行により行われる競り売り、入札、特別売却のことです。
旧刑法96条の3では、「公の競売又は入札」と規定されており、競り売りと入札以外の手続を含むかどうか疑義があったところ、現刑法96条の4で「売却」という規定になったことから、そのような疑義は解消されています。

 

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