強制執行妨害目的財産損壊等罪

強制執行妨害目的財産損壊等罪とは、強制執行を妨害する目的で、強制執行を受ける財産を隠匿、損壊、仮装譲渡し、また債務の負担を仮装する等の犯罪です。

刑法96条の2に規定されています。

刑罰は、封印破棄罪と同様で、3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金または併科されます。
本罪は、平成23年に改正され、犯罪が認められる範囲が拡張され、刑罰も重くなりました。

まず、強制執行妨害目的財産損壊等罪は、名前のとおり、強制執行を妨害する目的をもっていることが必要です。
強制執行を妨害する目的があれば、その強制執行を受ける債務者ではなく、第三者であっても、この犯罪は成立します。
強制執行について、民事執行法による強制執行と民事執行法を準用する強制執行が含まれることについては争いがありません。民事事件で判決が確定した後に行う強制執行はこれに含まれます。
国税徴収法に基づく滞納処分が、この強制執行に該当するかどうかについては争いがあります。改正前の最高裁判決昭和29年4月28日は、強制執行は、民事執行法による強制執行等に限られ、国税徴収法の滞納処分は含まれないと判示しました。
改正前の学説は、最高裁判決を支持している説が多数でしたが、改正後は立法時に国税徴収法に基づく滞納処分も範囲内とする立法担当者の見解が示されたこともあり、国税徴収法の滞納処分も本罪の強制執行に含まれるとの見解が多数になっているようです。
それ以外の刑事上の罰金、科料、没収の刑罰に基づく強制執行(刑事訴訟法490条)が含まれるかどうかについては争いがあります。
なお、平成23年改正前は、「強制執行を免れる目的」と規定されていました。「妨害する」には、「免れる」に含まれないような、強制執行を一時的にでも阻害する目的も含まれると思われます。そのような意味で、以前より適用範囲が広くなっています。

実行行為について、平成23年の改正により、以下のとおり、大幅に適用範囲が拡張されました。
①強制執行を受ける財産または強制執行を受けるべき財産を隠匿、損壊、仮装譲渡し、債務の負担を仮装する行為。
②強制執行を受ける財産または強制執行を受けるべき財産について、その現状を改変して、価格を減損しまたは強制執行の費用を増大させる行為。
③金銭執行を受けるべき財産について、無償その他の不利益な条件で譲渡または権利を設定する行為。
平成23年の改正前は、①の行為だけが犯罪として規定されていましたが、②③が新たに追加されました。
 

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